時事談論 vol.19「企業寿命30年説に考える株式本位制度<その1>」

解説
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●企業寿命30年説

人生100年時代への備えが大事という話題とともに,会社の寿命に関する記事を最近,頻繁に目にするようになった。確かに,人生設計を検討する際に,何らかの組織に帰属する人が多いことから,個人所得の源泉である組織自体の存亡には大きな関心が寄せられるというのが,大きな理由であると考える。「企業寿命30年説」は,1983年の日経ビジネスの特集記事で問題提起されたと説明する記事や論文にたどり着くことができた。また,この記事で主張されたのは,企業の寿命は30年しかないという意味ではなく,企業が繁栄のピークを謳歌できる期間は,わずか30年に過ぎないということであると,日経ビジネスの記事を引用して解説されている。企業が販売する製・商品及び提供するサービスは,消費者の生活環境やニーズの移り変わりとともに大きく変動するため,上手く事業転換を行わなければ,企業経営は立ち行かなくなってしまう。また,食料品のように日常生活に必須のモノと比較すると,エンターテインメントに関連するハード及びサービスについては,デジタル分野での技術発展に大きく影響され,さらに,サービス提供のプラットフォ...