書評 町田祥弘 編著『監査の品質に関する研究』

解説

EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 紙谷 孝雄

(同文舘出版刊/本体5,800円+税)
( 28頁)

本書は,日本監査研究学会課題別研究部会「監査の品質に関する研究」部会による研究の成果であり,2018年8月に近畿大学で開催された同学会全国大会における最終報告の内容を基にして加筆修正されたものである。

監査の品質については国内及び海外のいずれにおいてもさかんに行われているところである。国内においては会計不祥事を契機として設置された「会計監査の在り方に関する懇談会」の議論を踏まえて着々と制度の見直しが進められている。また,海外では,特に英国において監査の信頼性に関する議論が行われ,各種のレビューが進んでいるところである。このような内外の状況において,本書は,現在の品質管理制度,及び今後の監査規制の在り方について,総合的な見取り図を提供すべく取り纏められたものである。

本書は,(1)監査品質に関する制度,(2)監査法人のガバナンスコード,(3)監査法人のローテーション制度,(4)監査報告書の拡充,(5)わが国の監査品質の課題,(6)監査品質に関する個別研究という6部から構成されている。本稿で...