時事談論 vol.28「経営者支配の国の会社法」
解説
( 26頁)
●会社法改正
2019年秋の臨時国会で,会社法改正案が上程され,上場会社に対して,社外取締役1名の設置が義務付けられる。
いったいどの後進国の話だろう?
会社法の適用対象となる全ての株式会社に社外取締役の設置を義務付けるというのではない。上場会社に限っての規定である。すでに会社法は,上場会社に限定しての規制という区分規制を導入しており,上場会社に対する社外取締役設置義務付けを今日まで待たなければならない理由は,立法論としては何もない。
ガバナンスに関する法制や上場規程での規制は,1990年代から世界的に積極的な取組みが開始された。BCCI事件などを背景としたイギリスの監査委員会改革が端緒であり,その後,欧州諸国や米国は,上場規程による自主規制を通じて,上場会社のガバナンスを強化していく。
・ 取締役会議長を非執行取締役とすること
・ 独立取締役の独立要件の厳格化
・ 監査委員会による監査人の選任や報酬決定
・ 経営者報酬を審議する報酬委員会の設置
といったことが主要なテーマとなった。
さらに,大きな転機となったのが,米国のエンロン事件やワールドコム事件を背景として制定されたSOX法である。...
- 経営財務データベースで続きを読む
-
無料 2週間のお試しはこちら
すぐに使えるIDをメールでお送りします