監査基準・中間監査基準・四半期レビュー基準の改訂について

解説

金融庁 企画市場局企業開示課 開示企画調整官 神保勇一郎

金融庁 企画市場局企業開示課 課長補佐 伊神 智江

金融庁 企画市場局企業開示課 係長 山崎 優子

金融庁 企画市場局企業開示課 菅野 直人

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本年9月,企業会計審議会は,監査人による監査に関する説明及び情報提供の一層の充実を図る観点から,監査報告書における意見の根拠の記載や監査人の守秘義務に関する論点等について審議を行い,監査基準,中間監査基準及び四半期レビュー基準(以下「監査基準等」という)を改訂した。本稿では,改訂の経緯及びその内容を紹介したい。なお,意見にわたる部分はすべて私見である。

一 背景

財務諸表の監査は,財務諸表の信頼性を担保し,企業による適正なディスクロージャーを確保するための資本市場の重要なインフラストラクチャーである。

近年の不正会計事案を契機として,改めて会計監査の信頼性が問われる中,「会計監査の在り方に関する懇談会」において,会計監査の信頼性確保に向けた提言がとりまとめられた(平成28年3月)。その中では,「会計監査の透明性の向上を通じて,企業の株主によって監査人の評価が適正に行われるようになり,高品...