Q&Aコーナー 気になる論点(254)契約資産の会計処理と表示

解説

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

‐企業会計基準第29号の改正案②‐
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Q  企業会計基準委員会(ASBJ)は,2019年10月30日に 企業会計基準第29号 の改正案として企業会計基準公開草案第66号「収益認識に関する会計基準(案)」(改正基準案)などを公表しています(コメント期限:2020年1月10日)。これらでは,契約資産などの注記や表示についての改正のみならず,会計処理の見直しも行ったとしています。この結果,会計処理はどのように変わるのでしょうか。

A

企業会計基準第29号では,契約資産を金銭債権として取り扱うこととしていました。しかし,改正基準案では,国際的な会計基準における取扱いを踏まえ,契約資産が金銭債権に該当するか否かについて言及せず,契約資産に係る貸倒引当金の会計処理について,金融商品会計基準における債権の取扱いを適用すること,また,外貨建ての契約資産に係る外貨換算について,「外貨建取引等会計処理基準」の外貨建金銭債権債務の換算の取扱いを適用することを提案しており,この限りでは,契約資産が金銭債権に該当する場合と同じです。改正基準案では,金銭債権とすること...