Special Interview 改正会社法の実務上のポイント 第2回 総会資料の電子提供,取締役の報酬,株式交付
西村あさひ法律事務所 パートナー弁護士 髙木弘明
<編集部より> 既報のとおり,12月4日に改正会社法が参議院本会議で賛成多数により可決,成立し,同月11日に公布された(
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)。主な改正内容は,「株主総会資料の電子提供制度の創設」,「株主提案権の濫用的な行使を制限するための規定の整備」,「取締役に対する報酬の付与や費用の補償等に関する規定の整備」,「監査役会設置会社における社外取締役の設置の義務付け」,「株式交付制度の創設」などである。
これらの改正内容のうち,“識者の視点”から特に注目する実務上のポイントを挙げて頂き,インタビューを行った。今回は,西村あさひ法律事務所パートナーの髙木弘明弁護士に,株主総会資料の電子提供制度の創設,取締役の報酬等に関する規律の見直し,株式交付制度の創設について聞いた。 |
株主総会参考資料等の書面交付を不要に
◆改正会社法で注目されている項目を挙げて頂けますか。
2019年12月4日に会社法改正法が国会で可決成立し,同月11日に公布されました。今般の令和元年会社法改正は,改正内容が多岐に亘っていますが,その中でも株主総会資料の電子提供制度の創設,取締役の報酬等に関する規律の見直し,株式交付制度の創設の3点に注目しています。
まず,株主総会資料の電子提供制度については,現在,原則として書面で株主に送付している株主総会参考書類,事業報告等(以下「株主総会参考書類等」と総称)について,電子提供措置をとる制度です。電子提供措置の具体的な内容は法務省令で定めることとされていますので,改正会社法には具体的に何をするのか規定はされていないのですが,ウェブ(自社ホームページ等)に株主総会参考資料等を掲載し,そのURLを招集通知に掲載することで,株主総会参考資料等の書面交付を不要とすることが想定されています。
次に,取締役の報酬等に関する規律の見直しについては,一定の会社に対し,取締役会で取締役の報酬等に係る決定方針を決定することが求められます。また,株式報酬について,取締役に対する株式の無償発行が認められるなどの規律の見直しがされました。改正法の条文では明らかにはなっていませんが,事業報告における取締役の報酬等に関する開示の拡充も予定されています。
株式交付制度は,他の株式会社を子会社とするために,当該他...
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