新春インタビュー 国税庁・星野長官に聞く

ニュース
( 07頁)

本誌は,星野次彦・国税庁長官に新春インタビューを実施した。2020年(令和2年)に向けた抱負や取組みなどを聞いた。

令和2年の抱負を語る星野長官

――新年を迎えての抱負について

令和2年の年頭に当たりまして,謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

昨年10月に消費税率の引き上げが行われ,軽減税率という新たな制度が実施されたことで,国民の皆様の税に対する関心がこれまで以上に高まっていると認識しております。

また,経済活動のICT化・国際化が進展する中で,国税組織を取り巻く環境が急速に変化しています。例えば,巨大な多国籍企業に対する課税,またネット等を通じて行われる個人の取引に対する課税をどうしていくかなど,様々な新たな課題に日々直面しています。

昨年は大規模な災害が立て続けに発生し,各地に甚大な被害をもたらしました。災害により被害を受けられた方に対しましては,改めて心からお見舞いを申し上げます。国税庁としては引き続き,被災状況等に十分配意し,納税者の皆様の立場に立った丁寧な対応を行ってまいりたいと考えています。

――大法人の電子申告義務化への対応は

平成30年度税制改正により,大法人については,令和2年4月1日以後開始事業年度から,法人税等の電子申告が義務化されました。簡便・正確に申告等を行うことができる利便性の高い納税環境を整備するとともに,データの円滑な利用を進めることは,社会全体のコスト削減と企業の生産性向上にもつながるので,官民挙げて進めていくべき取組みであると考えています。

この制度の対象となる納税者は,添付書類も含めて電子的に提出することが義務化されており,たとえ法定申告期限までに書面による提出を行ったとしても,有効な申告が行われたことにならないのでご注意をいただきたいと思います。

国税庁では,この大法人の電子申告義務化の導入に併せて,「提出情報等のスリム化」,「データ形式の柔軟化」,「提出方法の拡充」,「提出先の一元化」,「認証手続の簡便化」といった施策に係るシステム改修等を進めております。既に実施しているものも多々ありますが,残りについても全て令和2年4月以降の申告に対応できるようになる予定です。

特に,勘定科目内訳明細書等とともに財務諸表をエクセル等で作成可能なCSV形式で提出(データ形式の柔軟化)ができるようになると,更に利便性が向上すると見込まれます。...