時事談論 vol.40「監査人だけが政治マターなのか?」

解説
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●マニフェストに会計事務所

英国の下院議員選挙が終わった。この稿が掲載される頃は,いよいよBrexitが現実のものとなっているのだろう。国民投票でEU離脱を決めたにもかかわらず,条件で折り合わないことを理由に時間を浪費していたように見えたが,国民全体で「もう,決めよう」と保守党を後押ししたのが今回の結果のように思う。良し悪し,正誤など,離脱の結果がわかるのは少し先になるだろうが,「前に進む」「やってみる」ということができる人を尊敬しているので,英国民にも敬意を表したい。

今回の選挙,保守・労働,両党のマニフェストも初めてみたが,なんとその中に「会計事務所をどうするか?」が含まれていた。我が国に置き換えて想像していただきたい。自民党や立憲民主党のマニフェストに「監査法人の組織はこうあるべきだ」といった項目があり,さらに両党で方針が異なり,論点になっている。日本の選挙で,そんなネタが票集めに有利に働くとは思えない。しかし,今回の英国ではこれも重要な論点だったということである。

●監査法人はどうあるべきか?

英国では2018年1月に建設会社カリリオンが破綻して以来,当事会社はもちろん...