時事談論 vol.50「新型コロナウイルス感染症と決算報告」

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●新型コロナウイルス感染症対策

自宅での勤務が続いている。

避けられない用事で出かけたときや,メール・電話で連絡を取り合うときなどには,話題はいつも新型コロナウイルス感染症だ。お互いの乏しい情報を交換し合い,俄か専門家気取りで,政府や会社の対策にあれこれ文句を言って,最後は「どうなるんだろうね」と不安と諦めの混ざった台詞で終わるパターン。リーマンショックやバブルの崩壊と違って,ウイルスは対抗薬ができれば元に戻るのは速いなんて言われているが,先が見えない中で,世界がパンデミックに見舞われている以上,何の慰めにもならない。いったい日本は,世界は,どうなるんだろう。

3月といえば,日本の大多数の会社の決算月だ。ある調査によると,新型コロナウイルスによる企業活動に対する影響について,「大企業の64.2%,中小企業で52.7%が『すでに影響が出ている』」と答えたという(東京商工リサーチ・第2回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査・2020年3月12日)。今後は,さらに影響が拡大していくだろう。

海外との取引がある会社は,渡航制限や物流の停滞で直接の影響があるし,それ以外の会社でも,これだけの自粛...