2020年3月期IFRS決算Q&A 第3回 リース期間および賃借設備改良の耐用年数

解説

有限責任監査法人トーマツ IFRS部 山本 耕三

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はじめに

IFRS第16号は2019年1月1日以後開始事業年度より強制適用となっており,3月決算の企業は,IFRS第16号導入後の初めての年度決算となります。本稿では,実務上の論点として影響が見込まれるIFRS第16号に関するIFRS解釈指針委員会のアジェンダ決定( No.3450・24頁 の同シリーズ第2回参照)を紹介します。文中の意見にわたる部分は,筆者の私見であり,筆者の所属する法人の見解ではないことをあらかじめお断りします。

Q1 IFRS第16号について,リース期間はどの期間で決定されるのか教えてください。

IFRS第16号は企業に様々な判断を求めており,その一つとしてリース期間があります。リース期間の判断は,IAS第17号の時から既に存在しましたが,IFRS第16号では原則として借手にリース契約にかかる使用権資産とリース負債を全てオンバランスすることを求めているため,ファイナンス・リース取引のみオンバランスすることを求めていたIAS第17号と比較すると,実務の重要性が増しています。

今回は強制力のある期間に焦点を当てて解説...