早稲田大学大学院　会計研究科教授　秋葉　賢一

Ｑ 国際会計基準審議会（IASB）は，IAS第１号「財務諸表の表示」を置き換えるように，2019年12月17日に公開草案（ED）「全般的な表示及び開示」（IAS第１号改正案）を公表しています（コメント期限：2020年６月30日）。IAS第１号改正案では，IAS第７号「キャッシュ・フロー計算書」も改正し，営業活動から生じるキャッシュ・フローを間接法により表示する場合の出発点を，営業利益とすることを提案しています。これは，なぜでしょうか。

Ａ

IAS第１号改正案において，それは，出発点に営業利益を使用することにより，調整を少なくすることができ，また，営業活動から生じるキャッシュ・フローと営業利益との差額は営業発生額の指標となるためとしています。

ただし，この提案は．現行と同様，営業活動から生じるキャッシュ・フローは，当期純利益の算定につながる取引及びその他の事象の結果として生じるものとしていることとは一致しないと考えられます。

＜解説＞

キャッシュ・フロー計算書（1）‐背景

IAS第１号改正案において，基本財務諸表プ...