2020年3月期決算対策 在外子会社がIFRS第16号「リース」を適用する場合の年度末の表示・開示上の留意事項

解説

EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 吉田 剛

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1 はじめに

2019年1月1日以後開始する事業年度より,IFRS第16号「リース」(以下「IFRS16」という。)が原則適用となっています。これに伴い,我が国の3月末決算の上場企業(日本基準適用会社である連結財務諸表作成会社)では,2019年6月第1四半期より,IFRS16を適用した在外子会社の決算を連結財務諸表へと取り込んでいるケースが多いと思われます。

IFRS16では,これまで「オペレーティング・リース取引」とされ,貸借対照表上でオフバランスとされてきたリース取引についても,その借手において,資産(使用権資産)及び負債(リース負債)を両建てで計上する処理となっている点は,すでにご承知のところかと思います。会計処理としては,上記のとおり,すでに第1四半期から我が国の親会社の連結財務諸表に含まれていますが ,3月末の年度末決算を迎えるに際しては,四半期では論点とならなかったような開示上の取扱いも検討する必要がでてきます。

本稿では,この年度末における表示・開示上の論点を中心に,IFRS16の適用に係る実務上の留意事項を解説し...