Q&Aコーナー 気になる論点(262) IASBにおけるのれんの議論(1)
早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一
Q 国際会計基準審議会(IASB)は,2020年3月19日付でディスカッション・ペーパー(DP)「企業結合-開示,のれん及び減損」(のれんDP)を公表しています(コメント期限:2020年9月15日)。のれんDPでは,現状どおり,のれんを償却せず,減損損失のみの方法を採ることを提案しています。これは,IAS第36号「資産の減損」が効果的に機能しているからなのでしょうか。 |
A
のれんDPでは,合理的なコストによりのれんの減損損失を適時に認識するという点で,IAS第36号の減損テストよりも,著しく効果的な別の減損テストを設けることは実現可能ではないとしています。すなわち,代替案がないという意味で機能していると考えているようです。
<解説>
背景
IASBでは,2004年にIFRS第3号「企業結合」を公表し,2008年に改正しています。また,2013年から2014年にかけて,IFRS第3号の適用後レビュー(PIR)を行っており,その結果として,以下を開始しています(1.1項‐1.4項)。
(1) 事業(business)の定義...
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