時事談論 vol.71「実務能力を身につける」

( 38頁)

●公認会計士試験は実務への入門試験

公認会計士試験もイレギュラーな日程変更があったものの,何とか8月23日の短答式試験を終え,11月には2日間に短縮された論文式試験が実施される。コロナ禍とはいえ,会計士業界は新たな人材を必要としており,公認会計士となって将来の活躍を夢見る受験生には,こんな環境には決して負けることなく頑張ってほしい。

公認会計士試験は,かつて司法試験,外交官試験と並んで三大難関試験と呼ばれていたが,かつてに比べれば難易度は下がったように思われる。実は,出願者数に対する比率では大きな差はないが,旧試験では合格者数が600-800人台であったのに対して,現在は,1,000-1,200人となっている。しかしながら,U.S.CPAは3か月ごとに受験することができるのに対して,1年に1回しか受験機会はない。また,昨年度の公認会計士試験の合格者年齢は25.2歳であったように,何年も受験生生活を経て合格するケースもある。こうしたことから,「人生を賭ける」試験となってしまっていることは否めない。

ところが,そうした難関試験を突破したとしても,会計基準や監査基準を勉強しただけでは実務では役に立...