国税庁 可部長官に就任インタビュー

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本誌はこのほど,第51代国税庁長官に就任した可部哲生(かべ・てつお)氏にインタビューを行った。可部氏は1985年に大蔵省に入省。大臣官房審議官(国際局担当),主計局次長,理財局長などを歴任した。

――就任の抱負を

就任の抱負を語る可部長官

新型コロナウイルス感染症あるいは7月の集中豪雨で亡くなられた方のご冥福をお祈りいたしますとともに,その影響を受けられた皆様方に心よりお見舞いを申し上げます。被害を受けられた方々につきましては,税務申告の手続き等は状況が落ち着いてからで結構ですので,税務署にご相談いただきたいと思います。国税庁としては実情に応じた丁寧な対応に努めて参ります。

日本の税制は,申告納税制度を基本としております。申告納税制度の礎は,納税者の皆様と国税組織の信頼関係です。その信頼関係に基づいて納税者の皆様の自発的な納税義務の適正かつ円滑な履行を実現していくことが,時代を超えて変わらない国税庁の使命であると考えております。

他方で,経済・社会のICT化やグローバル化,最近では新型コロナウイルス対応により,税務を取り巻く環境は急速かつ大幅に変化しております。そうした中で私は二つのことが大事だと思っています。

一つは,納税者の皆様の利便性の向上です。スマートフォンを含めたe‐Taxをはじめ,納税者の皆様がスムーズに納税できる手続きを一層進めていくことが重要と考えています。もう一つは,調査あるいは徴収等の効率化及び高度化です。今後はAIの活用等を含めて進めていくことが重要だと思っております。

いずれの観点につきましても,今回のコロナウイルス感染症への対応で,企業の皆様あるいは国民生活の中でトランスフォーメーションといわれるイノベーションが大きく進んでおります。私共もこのイノベーションを取り入れてさらにアップデートしてまいりたいと考えています。

――コロナ禍における今事務年度の税務行政の執行方針について

期限までの申告あるいは納付が難しい場合には,納税者の皆様の置かれた状況・心情に配慮した取組みに努めるという基本的な方針で臨んでおります。

具体的には,期限までに申告・納付等ができないやむを得ない理由がある場合には,期限の延長について柔軟に対応しております。また,国税の納付の特例猶予については,来年2月1日までに納期限が到来する国税が対象とされておりますので,この現行制度を丁寧に運用してい...