時事談論 vol.77「ロバを連れている老夫婦」

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●株主総会での質疑応答

ネット配信される雑誌の表紙を眺めていて,週刊現代の記事タイトルにより数か月前の記憶が呼び覚まされた。2020年6月11日,トヨタ自動車の豊田社長が定時株主総会の壇上で切り出された「ロバを連れている老夫婦の話し」である。関心を持たれた方は,トヨタイムズ https://toyotatimes.jp/insidetoyota/081.html にアップロードされている動画をご覧になることをお勧めする。ご発言の要旨は,「言論の自由という名の下に,マスコミからは何をやっても批判される。最近のメディアを見ていると,何がニュースなのかは自分たちが決めるという傲慢さを感じずにいられない。」という言葉に集約される。しかし,これは株主からの次の質問に回答するなかでの発言という状況を適切に理解する必要がある。

「今回,ほかの多く会社が今期の見込みに対して「わからない」「できない」という中で,トヨタだけが5千億円の黒字見込みを発表した。その数値はあてになるのか?また,翌日にマスコミが「トヨタ8割減」と太字で新聞報道をしている。私はマスコミに「え,そっちを書く?」と思った。今期は先期との比較で...