年頭所感《税務研究会 代表取締役社長 山根 毅》

新年を迎えて

株式会社税務研究会 代表取締役社長 山根 毅

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2021年の新春を迎えるにあたり,読者の皆様に謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

昨年は,いまなお続く新型コロナウイルス感染症との闘いの1年でした。世界的な感染拡大は,企業の決算および監査にも多大な影響を及ぼし,とくに緊急事態宣言の発出期間とも重なった3月期決算は,決算発表や定時株主総会の開催が危ぶまれるなど,とても困難な対応を迫られました。本誌でも昨年,決算実務への影響が想定されたことから,その実務対応を中心とした誌面構成とし,様々な関連情報をお伝えしてきました。

一方で,この外部環境の変化を変革のチャンスと捉え,プラス思考の前向きな取組みが各企業でみられはじめています。業務フローや働き方改革ばかりでなく,デジタルトランスフォーメーション(DX)への取組みを加速化させる契機にもなっています。これは,監査の領域でも同様です。従来からAIの導入など先進的な取組みが行われてきましたが,今後急速な進展が見込まれます。

会計・監査・開示制度に目を向けますと,本年3月期決算で新たに適用される会計基準として,「見積り開示基準」があげられます。企業環境の不確実性が高まる中で,会計上の見積りは開示面でも重要...