Q&Aコーナー 気になる論点(280) IASBによる共通支配下の企業結合の検討(2)
早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一
Q 国際会計基準審議会(IASB)が2020年11月30日に公表したディスカッション・ペーパー(DP)「共通支配下の企業結合」(コメント期限は2021年9月1日)では,共通支配下の企業結合に取得法を適用する場合,IFRS第3号「企業結合」の手続をどのように修正することを提案しているのでしょうか。 |
A
DPでは,共通支配下の企業結合に取得法を適用する際に,支払金額が過大の場合,移転先の企業が資本からの分配を識別し測定・認識するための要件を開発すべきではないこと,支払金額が過小の場合には,識別可能な資産・負債の公正価値が支払金額を超える分を,割安購入益としてではなく,資本への拠出とすることを予備的見解としています。
<解説>
取得法の適用(1)‐問題の所在
DPにおけるIASBの予備的見解は,[図表1]の移転先の企業(receiving company)の連結財務諸表上,その非支配株主に影響を与える共通支配下の企業結合に対し,原則として,IFRS第3号に定められた取得法を適用することです(2.23項,3.1項) ① 。
[図表1] 共通支配下の企業結合における移転先の企業
これは,以下の理由によるとしていま...
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