新春特別寄稿 サステナビリティ元年にあたって

IFRS財団アジア・オセアニアオフィス ディレクター 高橋 真人

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はじめに

2021年の年頭にあたり,謹んで新年のご挨拶を申し上げます。平素よりIFRS財団及び国際会計基準審議会(IASB)の活動にご理解とご支援を賜り大変ありがとうございます。本年もアジア・オセアニアオフィスを含め,引き続きご支援ご協力をお願いいたします。

2021年は,企業の経理部など会計コミュニティにとっては,サステナビリティ元年とも言うべき年になるのではないかと思います。2020年9月30日にIFRS財団評議員会が公表した「サステナビリティ報告に関する協議」 (以下,本協議)は,会計コミュニティを少なからず驚かせました。なぜIFRS財団がサステナビリティ報告に手を出すのか,IFRS基準はどうなるのか,こうした不安が会計コミュニティからの最初の反応であったと思います。

正直言って,筆者を含む会計コミュニティは,これまでサステナビリティという分野にあまり関心を払って来なかったと思います。会社の中でも,財務報告は経理部,サステナビリティ報告は広報・IR・経営企画部と,きれいに分業されています。しかし,IFRS財団がサステナビリティ基準を手掛けることになれば,経理部としてもサステナビリティは...