英国FRCのレポートに基づくIFRS開示事例分析と実務上の論点(下)

IFRS第16号「リース」

EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 竹下 泰俊

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Ⅰ.はじめに

IFRS第16号「リース」(以下,IFRS第16号)が2019年1月1日以降開始する事業年度から適用され,多くの日本のIFRS適用企業が2020年3月期において同基準の表示及び開示に関する定めに基づいた連結財務諸表を作成しています。各企業はIFRS第16号の内容を確認しつつ,自社で行われているリース取引の実態を基準に照らしながら必要な開示を行っています。

本稿では,Ⅱ及びⅢでIFRS第16号の開示にフォーカスし,英国・財務報告評議会(以下,FRC)レポートによるIFRS第16号の表示及び開示分析結果を解説します。同レポートではIFRS第16号の開示事例分析だけでなく今後の改善ポイントについても言及されていますので,より良い開示を行うための参考になると考えます。

また,ⅣではIASB(国際会計基準審議会,以下,審議会)が2020年5月に公表した新型コロナウイルス感染症の影響によるIFRS第16号の改訂内容について解説します。最後にⅤでは,IFRS解釈指針委員会のアジェンダ決定の内容から,特に実務上の影響があると思われる論点をピックアップして解説します。

なお,本稿は筆者の理解に基づ...