時事談論 vol.99「強い社会と若い社会」

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●コロナ禍での2度目の決算

今年もコロナ禍が続く中での決算がやってきた。

昨年は,初めての事態で,決算発表や株主総会を延期するかどうかなど,大慌てであった。今も一日数百人の新規感染者が出る中で,同じようにこの時期を迎えたが,なぜかこの環境にも慣れてしまった気がする。緊急事態は解除されたが,リモートワークを取り入れ,会議や面談を極力避け,監査対応も昨年と同様にデータの遣取りやリモート対応を行えば何とかなりそうだ。

きっと政府も,取引所や会計士協会も色々な措置をとってくれたから,昨年の危機的な状況を乗り切れたのだろう。とはいえ,企業側も監査の側も,「危機的な状況」にはすっかり慣れてしまった。無事に昨年のように対応すればいいともいえるし,昨年からのコロナ禍の状況からして,今年も同じような環境になることはある程度予想されていたから,想定の範囲内ともいえる。

でも,企業の現場のことに限らず,少し俯瞰してみると,やや違和感が拭えない。「危機的な状況」への臨時の措置だったから,恒久的な対応を考える余地はなかったのかもしれないが,仮に来年や再来年,ワクチン接種が進んでコロナ禍が終息したときに,元の状況に戻って...