書評 鈴木 広樹 著『適時開示実務入門(第3版)』

(同文舘出版刊/本体2,200円+税)

前田工繊株式会社 経理部長 齊藤 健二

( 51頁)

本書は,主に上場企業の開示担当者のための実務書である。特に上場企業に勤務していて人事異動等により適時開示を担当することになったという方には,まず本書を読むことをお勧めしたい。証券会社での実務経験が豊富で,かつ,公認会計士の資格を持っている著者ならではの実務者目線の解説が非常にわかりやすくまとめられている。

本書の構成は以下のとおりである。

第1章は「適時開示実務の基本」,第2章は「決定事実・発生事実に関する適時開示の実務のポイント」,そして第3章は「決算情報・決算関連情報に関する適時開示の実務のポイント」になっている。また,資料編として適時開示の基準が一覧表形式でまとめられており,さらにキーワードの索引もあるため実務書として非常に便利である。

初めて開示担当者となった方や基本を学びなおしたい方には第1章を念入りに読んでいただきたい。本書以外の実務書では制度解説に終始することが多いと思うが,本書の場合はところどころに著者のアドバイスがあるため実務をイメージしやすく,基本の考え方が身につくだろう。私は開示実務に携わって約20年になるが,20年前には本書のような入門書には出会えず,証券取引所の分厚...