INTERVIEW 会計監査人「再評価制度」について

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 平和不動産株式会社 監査役(常勤) 加藤 尚人
 監査役(常勤) 広瀬 雅行
<編集部より>会計監査人交代に関する開示が充実しつつある。金融庁が公表した「会計監査人についての情報提供の充実に関する懇談会」の報告書,東京証券取引所の施策などにより,実質的な交代理由の開示が求められているためだ。各社の開示を見ると,交代の経緯や理由が詳細になったほか,交代に至った検討の経緯を示すケースもある。その一つがビルディング事業を手掛ける平和不動産だ。同社は「会計監査人再評価制度」を導入し,どのような視点で監査人の交代を検討したか開示していた(2020年5月15日の適時開示「公認会計士等の異動に関するお知らせ」)。本誌はこのほど,制度の運用に当たった同社の監査役にインタビューを実施。監査の実効性を高めるためにどのような取組みを行ったのか。制度導入の経緯や策定の実務を聞いた。

1.導入の経緯

――貴社は2020年5月の適時開示において,会計監査人の選定基準および評価・再任の判断基準の見直しを行うとともに,「会計監査人再評価制度」の導入を公表されました。導入の経緯とねらいをお聞かせください。

当社は,監査役会が定めた...