2021年3月期有報 見積り開示基準,コロナ回復シナリオの具体的な記載も

製造業では需要回復時期等に言及
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2021年3月期から「会計上の見積りの開示に関する会計基準」が適用され,有価証券報告書で「重要な会計上の見積り」に関する注記が開示されている。この見積り注記においては,新型コロナウイルス感染症の影響を記載した事例も散見される。
以下では,これらの事例のなかで,特に新型コロナによる影響を具体的かつわかりやすく記載しているものを紹介する。例えば,阪急阪神ホールディングス(東一,陸運業)では,主要な仮定として,新型コロナからの回復シナリオを3ステップに分け,段階的な想定を開示していた。

経済活動の回復シナリオを3ステップで想定

「会計上の見積りの開示に関する会計基準」では,財務諸表に計上した金額が会計上の見積りによるもののうち,翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある項目を識別して注記する。具体的には,計上金額の算出方法,算出に用いた主要な仮定,翌年度の財務諸表に与える影響などである。

この点,「具体的かつ充実した開示を行うことが望ましい」等の声もある。そこで,以下では,2021年3月期有価証券報告書の「重要な会計上の見積り」注記における新型コロナウイルス感染症の影響等の記載に注目し,収束時...