東京国税局 市川局長に就任インタビュー

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本年7月に市川健太(いちかわ・けんた)氏が東京国税局の局長に就任した。市川氏は1985年に大蔵省入省。財務省理財局次長や日本政策金融公庫代表取締役専務取締役などを歴任した。

市川・東京国税局長

――就任にあたり抱負をお聞かせください。

近年の経済活動の国際化やデジタル化の急速な進展,それから足下におけるコロナ感染症の影響等に鑑みますと,税務当局が引き続きその使命を果たしていくには「4つの課題」への取り組みが重要であると考えています。

第一には,e-Taxやキャッシュレス納付の推進などデジタル技術の進展をいかした納税者利便の向上です。これは感染症予防対策にも資すると考えています。第二に,コロナ禍の下で適正かつ公平な課税の追求を行うことです。コロナ禍に苦しむ事業者についてはよく実情に耳を傾け丁寧な対応を心がけたいと思いますが,一方でこうした状況を奇貨として消費税の不正還付請求や所得隠し等を働く悪質な納税者には厳正に対処します。第三に,複雑化,高度化する取引実態の解明であります。デジタル技術の急速な進展や取引のグローバル化により,海外への資産隠し,あるいは国際的租税回避が蔓延するおそれがあります。国...