<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第43回 基本財務諸表(その7)

 国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継

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ラストコンサート

アイドルグループ「嵐」は2020年一杯でグループとしての活動休止を発表し,そのラストコンサートは大みそかの12月31日に無観客で行われた。2021年以降はグループとしての「嵐」のコンサートを見ることが出来ない。「嵐」のファンの方々にとって,これまで毎年開催されていたコンサートが翌年からなくなるということは,心にポッカリ穴が開いたような気持にさせられたことであろう。

ところで,基本財務諸表プロジェクトの公開草案では,「通例ではない収益および費用」というものを定め,それを注記で開示することを提案している。公開草案の結論の根拠BC第136項にはこのような記載がある。「過去の期間に発生したが,将来の複数の報告期間において発生するとは合理的に予想されない収益又は費用の項目は,通例でない収益又は費用として識別されることとなる。」

この項の意味するところは,例えば,毎年安定して収益を計上していた顧客との関係が切れ,来年からは同じような収益が見込めなくなったような場合,その顧客との取引で得た今年の収益は,「通例でない収益」となり,注記による開示が必要となる。

このような考え方は,日本の会計慣...