ソフトウェア制作費等に係る会計処理及び開示に関する研究資料公表を踏まえた実務上の考察 第2回 ゲーム制作費の会計処理(前編)

PwCアドバイザリー合同会社 シニアマネージャー・公認会計士 田中 一宏
PwCアドバイザリー合同会社 シニアアソシエイト・公認会計士 戸村 祥平

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はじめに

本連載は、2022年6月30日に公表された「ソフトウェア制作費等に係る会計処理及び開示に関する研究資料~DX環境下におけるソフトウェア関連取引への対応~」(以下、「研究資料」)に関して、実務上の論点、考え方を整理することを目的としている。

連載第2回となる今回から、「ゲーム制作費の会計処理」について前後編に分けて紹介する。なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることをあらかじめお断りする。

〈今後の予定〉

今回1.ゲーム業界の会計実務 (1)ソフトウェア産業におけるゲーム (2)ゲームビジネスの整理 (3)ゲームビジネスの変遷と会計実務2.研究資料(ゲーム制作費)の解説 (1)研究資料の概要 (2)貸借対照表上の表示科目と費用配分の方法に関する考察次回 (3)研究開発費とソフトウェア制作原価の区分に関する考察3.ゲーム制作費に関連する諸論点 (1)ゲーム制作のビジネスフロー (2)ゲームリリース前の諸論点  ①オープンβテスト、アーリーアクセス等のβ版に関する論点  ②近年の業界慣行となっているソフトローンチに関連する論点 (3)ゲームリリース後の諸論点  ①継続開発費の会計処...