ハーフタイム 管理会計に求められる新しい機能

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企業会計は通常、財務情報を外部の利害関係者に伝えるための「財務会計」と、内部の経営者に伝えるための「管理会計」に区分される。財務会計は概念や基準に基づいて一定の情報を提供するが、管理会計は外部向け情報をはるかに上回るような詳細な情報を経営者に報告する。こう聞くと、公開企業は二通りの会計システムを都合の良いように使い分けているように思えるがそうではない。管理会計は創業時から経営管理に欠かせない存在だが、株式公開後の情報開示手段として財務会計が新たに必要になるからである。

では管理会計の目的と機能とはどのようなものだろうか。伝統的には、①戦略的経営意思決定会計、②短期及び中期計画対比及び同業他社対比による業績評価会計、③企業固有のまたは事業部門毎の問題点を発見し解決する会計、の3つが指摘されている。

しかし、一方的に財務情報を報告する時代が終わり、投資家・株主と経営者の対話が必須となる環境では、上記①戦略的経営意思決定会計はもはや管理会計だけのものではない。企業はまず環境・社会問題の解決に貢献しているか、有形固定資産中心から無形資産中心へと変化する中で競争力と持続可能性は維持できているかが問わ...