【サステナビリティ開示】人的資本・多様性に関する開示を巡る国内の動向(前)

有限責任 あずさ監査法人 開示高度化推進部 前田 啓

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1.はじめに

本年6月13日に、金融庁/金融審議会(ディスクロージャーワーキング・グループ)から公表された「金融審議会 ディスクロージャーワーキング・グループ報告‐中長期的な企業価値向上につながる資本市場の構築に向けて‐」(以下「DWG報告」という。)には、サステナビリティに関する有価証券報告書等における開示のあり方について提言が示されている。とりわけ人的資本・多様性に関する開示については、早ければ2023年3月期の有価証券報告書から追加の開示が求められる可能性があり、周辺制度の動きも活発化している。

今回、人的資本・多様性に関する開示を巡る国内の動向について2回に分けて解説するが、本稿では、このうち人的資本・多様性に関する開示の全体像、並びに本開示に関連する「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(以下「女性活躍推進法」という。)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(以下「育児・介護休業法」という。)の直近の改正内容に焦点を当てる。なお、本文中の意見にわたる部分は、筆者の私見であることを申し添える。

2.サステナビリティ開示(人的資本・多様性を...