2023年3月期IFRS決算Q&A 第3回(最終回) 国際的な税制改革、超インフレ会計

有限責任監査法人トーマツ 公認会計士 石原 宏司
有限責任監査法人トーマツ 公認会計士 西田 享広
有限責任監査法人トーマツ 公認会計士 宍戸 純子

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本稿では、2023年1月にIASBによって公表された公開草案「国際的な税制改革‐第2の柱モデルルール」に示されているIAS第12号「法人所得税」の修正案及びIFRSにおける超インフレ会計の概要について解説します。文中の意見にわたる部分は、筆者の私見であり、筆者の所属する法人の見解ではないことをあらかじめお断りします。

Ⅰ 「国際的な税制改革‐第2の柱モデルルール」IAS第12号の修正案

IASBは、2023年1月に公開草案「国際的な税制改革―第2の柱モデルルール(IAS第12号の修正案)」を公表しました。本公開草案は、経済協力開発機構(OECD)が公表した「経済のデジタル化から生じる課税上の課題―グローバル税源浸食防止モデルルール(第2の柱):BEPS包摂的枠組み」を導入することから生じる、法人所得税の会計処理(特に繰延税金)についての懸念に対応することを目的としています。

以下、公開草案「国際的な税制改革―第2の柱モデルルール(IAS第12号の修正案)」について概説します。

Q1 公開草案が公表された背景について教えてください。

2021年12月に、経済協力開発機構(OECD)が「経済のデジタ...