Q&Aコーナー 気になる論点(334) IASBによる開示作成ガイダンス

‐IFRSにおける開示要求の開発及び文案作成‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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 IASBは、2023年3月8日、「IFRSにおける開示要求の開発及び文案作成に関するガイダンス」(開示作成ガイダンス)を公表しました。開示作成ガイダンスは、IASBに対してIFRSの開示要求を開発し文案作成する際のフレームワークを提供するとしていますが、「財務報告の概念フレームワーク」(概念フレームワーク)には記載せず、IFRS財団のウェブサイトで公表することとしたのは、なぜでしょうか。

開示作成ガイダンスは、開示に関する取組み(Disclosure Initiative)のプロジェクトの一部として、IASBが開示要求を開発し文案作成する(developing and drafting disclosure requirements)際に従う方法を示したものです。ただし、開示ガイダンスには、財務報告に関する概念は含まれておらず、概念フレームワークでは表示目的と開示目的が重要であることを既に強調しており、また、変更等が必要になった場合の柔軟性を確保するため、IFRS財団のウェブサイトで公表することとしました。

〈解説〉

IASBにおける開示に関する取組みのプロジェクトの経緯

IASBが20...