ハーフタイム 仮想通貨の現実と将来

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仮想通貨(暗号資産)は金融テクノロジーを革新する「分散型金融」の起爆剤として期待され、年金基金など機関投資家の投資が追い風となって2021年末には世界の時価総額は3兆ドル(年初総額の4倍)に、代表的な仮想通貨ビットコイン価格は一時、1BTC=6万8,500ドルに達した。米国で仮想通貨ブームが始まったのはFRBの量的緩和と超低利がきっかけだった。

ところが、22年に米国で利上げが始まるや否や、6月末にはビットコイン価格は3万ドルを割り込み時価総額2兆ドルが消失、7月に入ると仮想通貨関連のファンドや企業が相次いで破産、11月にはバンクマン・フリード率いるFTXの破綻がブームの終焉を告げた。

上記の投機ブームも「根拠なき熱狂」の一コマであるが、本当の原因は何だったのか。一つは、偽る力を以て天才と見誤られた経営者による私的流用やお粗末な会計処理であり、その結果、負債総額100億ドル(債権者は100万人超)と現預金残高12.4億ドルの差額は行方不明に。もう一つは米当局の甘くなっていた金融規制だろう。その証拠に、わが国金融庁の厳しい規制によって、インターネットで親会社と接続することなく日本円で別管理し...