Q&Aコーナー 気になる論点(337) リース会計基準案(1)

‐借手の使用権資産及びリース負債の計上‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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 企業会計基準委員会(ASBJ)が、2023年5月2日に公表した企業会計基準公開草案第73号「リースに関する会計基準(案)」(リース会計基準案)及び企業会計基準適用指針公開草案第73号「リースに関する会計基準の適用指針(案)」(リース適用指針案)では、原則としてすべてのリースについて、借手は、資産・負債を計上することを提案しています。これは、未履行契約のオンバランス化を意味するのでしょうか。

リース会計基準案では、IFRS第16号「リース」と同様に、リース開始日において、貸手は契約を履行し、それに基づいて、借手が使用権資産及びリース負債を計上するとみているため、未履行契約のオンバランス化を提案しているわけではないと思われます。

〈解説〉

公表の経緯

国際会計基準審議会(IASB)は、2016年1月に国際財務報告基準(IFRS)第16号を公表し、米国財務会計基準審議会(FASB)は、2016年2月にTopic 842「リース」を公表しています。これらの国際的な会計基準において、借手は、原則として、使用権モデルにより、オペレーティング・リースも含むすべてのリースについて資産・負債を計上すること...