新・経理実務最前線!Q&A 監査の現場から 第11回 投資事業有限責任組合への出資の会計処理における実務上の留意点

EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 松原 匠作

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一般事業会社が事業展開を進めるにあたって、スタートアップ企業への投資が盛んに行われており、その中で、投資事業有限責任組合(Limited Partnership、以下「LPS」という。)を中心とした投資ファンドへの出資は、潜在的な投資先に関する情報収集の観点で活用されることもあり、一般事業会社が出資者として名を連ねることも少なくありません。根拠となる法令によって「組合型」、「会社型」、「信託型」の3種類がありますが、LPSは「組合型」に分類されます。LPSへの出資は、単純な有価証券の取得のように見えるものの、組合型の組織形態であることに起因して独特な会計処理を行う必要があるため、LPSへの出資があった際には、本稿を参考にしていただければ幸いです。

なお、文中の意見に係る部分は、EY新日本有限責任監査法人の公式見解ではなく筆者の私見であることをお断りさせていただきます。

○○1号投資事業有限責任組合という投資ファンドへの出資を検討しています。会計処理の概要と実務上の留意点を教えてください。

会計処理の検討にあたっては、LPSの持分及び損益の取込や、連結範囲の検討等多岐に渡る論点が関連してお...