財務報告に係る内部統制の評価と監査についての基準等の改訂について
金融庁 企画市場局 企業開示課 課長補佐 小作 恵右
金融庁 企画市場局 企業開示課 課長補佐 松井 都志子
金融庁 企画市場局 企業開示課 専門官 加藤 淳平
金融庁 企画市場局 企業開示課 瀬尾 優典
はじめに
本年4月、企業会計審議会は、財務報告に関する内部統制の実効性向上を図る観点から、「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」(以下「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」を「基準」、「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」を「実施基準」、「基準及び実施基準」を「内部統制基準等」という。)を改訂した。本稿では、改訂の経緯及びその内容を紹介しており、意見にわたる部分は全て私見である。
一 背景・経緯
金融商品取引法により、上場会社を対象に財務報告に係る内部統制の経営者による評価と公認会計士等による監査(以下「内部統制報告制度」という。)が2008年4月1日以後開始する事業年度に適用されて以来、15年余りが経過した。この内部統制報告制度は、財務報告の信頼性の向上に一定の効果 ① があったと考えられる。
一方で、経営者による内部統制の評価範囲の外で開示すべき重要な不備が明らかになる事例や内部統制の有効性の評価が訂正される際に十分な理由の開示がない事例が一定程度見受けられており、経営者が内部統制の評価範囲の検討に当た...
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