IFRSをめぐる動向 第152回 金融商品の分類及び測定の修正に関する公開草案

PwCあらた有限責任監査法人 公認会計士 宮治哲司

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1.はじめに

本連載は、主に国際会計基準審議会(IASB)の月次会議における討議内容に基づき、IFRSをめぐる最新の動向を伝えることを目的としています。本稿では、IASBが2023年3月に公表した公開草案「金融商品の分類及び測定の修正(IFRS第9号「金融商品」及びIFRS第7号の修正案)」(以下「公開草案」といいます)の主な内容を紹介します。なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることをあらかじめお断りします。

2.背景

公開草案は、IFRS第9号「金融商品」(以下「IFRS第9号」といいます)における金融商品の分類及び測定の要求事項に関する適用後レビューの結果、対応が必要な事項であるとIASBが識別した論点について、IFRS第9号及びIFRS第7号「金融商品:開示」(以下「IFRS第7号」といいます)を修正することを提案するものです。IASBが適用後レビューの結果として2022年12月に公表したフィードバック・ステートメントでは、寄せられたフィードバックに対してIASBが対応すべき事項が優先順位をつけて示されましたが、公開草案ではそれらが次のように整理され、関連するIFRS第9号及...