有価証券報告書における「サステナビリティに関する考え方及び取組」の開示
2022年12月決算会社による先行的開示の分析と開示例
公認会計士 山田 善隆
( 37頁)
Ⅰ.はじめに
2023年3月期以降の有価証券報告書から2023年1月に改正された「企業内容等の開示に関する内閣府令」(以下、「改正開示府令」という)が適用され、サステナビリティに関する情報の記載が求められる。改正開示府令は柔軟性を重視し、ガイダンスを最小限に絞ったものとなっているが、そのため実際にどのような記載を行うかを決定するにあたって逆に苦労するという声も聞かれるようである。
そこで、本稿では2022年12月決算会社の有価証券報告書における改正開示府令の早期適用開示または改正開示府令を意識したと思われる開示を分析し、参考となる開示例を紹介したい。
なお、文中意見にわたる部分は筆者の私見であることをあらかじめ申し添える。
Ⅱ.分析対象企業
本分析では、2022年12月31日を期末日とする有価証券報告書を提出した企業のうち、有価証券報告書の【事業の状況】のなかで「サステナビリティに関する考え方及び取組」という見出しを掲げて開示を行った企業(6社)を対象とした【図表1】。
なお、このうち、改正開示府令を適用している旨を表明していたのは1社(リンクアンドモチベーション)のみであった。したがって、他の5...
- 経営財務データベースで続きを読む
-
無料 2週間のお試しはこちら
すぐに使えるIDをメールでお送りします