国際会計士倫理基準審議会（IESBA）が開発するサステナビリティ報告及び保証の倫理・独立性基準について（2023年９月時点）

　IESBAテクニカル・アドバイザー　公認会計士　山田 雅弘
　日本公認会計士協会　業務本部　倫理グループ研究員　公認会計士　玉井 暁子

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1．はじめに

国際会計士倫理基準審議会（International Ethics Standards Board for Accountants：IESBA）は、2022年12月にサステナビリティ報告及び保証の倫理・独立性基準を開発するプロジェクト案を承認し、2023年12月のボード会議で予定している公開草案の承認に向けて活発な議論が行われている。当該プロジェクトでは、サステナビリティ情報の作成者に求められる倫理及びサステナビリティ情報の保証業務を実施する者に求められる倫理・独立性について規定を策定している。

本稿では、IESBAの「サステナビリティ（Sustainability）」及びサステナビリティ報告及び保証と密接に関係する「専門家の利用（Use of Experts）」のプロジェクトについて、2023年９月のボード会議の内容に基づき内容を解説する。なお、本文中の意見にわたる部分は、筆者らの私見であることを申し添える。

2．プロジェクトの背景

近年、企業経営や投資家の投資判断におけるサステナビリティ情報の重要性の高まりを受けて、サステナビリティ情報の開示及びその保証が急速に発展し、サステ...