IFRSをめぐる動向 第157回 「基本財務諸表」プロジェクトの最近の動向(2023年6月および7月IASB会議での再審議)

PwCあらた有限責任監査法人 公認会計士 大澤 美幸

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Ⅰ.はじめに

本連載は、主に国際会計基準審議会(IASB)の月次会議等における討議内容に基づき、IFRSをめぐる最新の動向を伝えることを目的としています。今回は、現在のIAS第1号「財務諸表の表示」(以下、「IAS第1号」という。)に代わって適用される新基準書の開発を行う「基本財務諸表」プロジェクトについて、2023年6月および7月に開催されたIASB会議における審議の内容を中心に説明します。それ以前の審議の内容は、本連載の第131回、第133回、第137回、第141回、第147回および第153回の解説をご参照ください。なお、本稿の内容は今後のIASBの討議状況によって変更される可能性があり、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることをあらかじめお断りします。

Ⅱ.プロジェクトの進捗の状況

基本財務諸表プロジェクトのタイムラインは、【図表1】に示したとおりです。IASBは2023年1月から、的を絞ったアウトリーチにおいて得られたフィードバックを踏まえ、対応が必要とされた論点について追加検討(再審議)を行いました。会計上の技術的な論点に関する審議は2023年6月に終了し、2023年7月のIA...