ハーフタイム 過去の金融危機からみた2024年の会計課題
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2008年のリーマンショックから15年後の2023年春、米地銀のシリコンバレー銀行(以下SVB)ほか2行及びCredit Swisseが倒産。米政府はすかさず預金保護を決定し、連邦準備制度理事会(FRB)と大手行は流動性支援策(その規模はリーマン時の2倍)を矢継ぎ早に発表して一応沈静化し、スイス政府もUBSによるCredit Swisse買収を斡旋しAT1債訴訟以外は落着した。しかし長期停滞からインフレへの急転換に対応して始まった利上げでいまもなお保有債券の含み損は消えず、不動産融資は不良債権化しつつある。
2001年のエンロン事件、2008年のリーマンショックから数えると、2023年の金融危機は、21世紀になって早くも3番目である。これらの危機にはそれぞれ固有の事情があり表面的には異なるようにみえる。だが真の姿に迫ると、当局の金融規制が形骸化していたほか、会計ルールや情報開示、それにガバナンスにも問題点がある。しかも、グローバル化した世界の金融システムでは、原因は米国発や欧州発であっても、2024年度から始まりそうな利上げの影響がわが国企業と会計に及ぼす諸問題は今後の緊急課題となるだろ...
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