ハーフタイム 会計には経験が必要でありガバナンスが不可欠
( 23頁)
会計には単純簡明な経験が必要でありそれこそが本当の先生である。そのことを実感したのは『“金融は何故不安定なのか”―会計からみたとき』という仮題で20頁程の小論を書いたときだった。ポピュラーな題目だから参考になる文献は山ほどある。いやありすぎて要点も筋道もまとまらないので困惑したとき、ひらめいたアイデアは実務を通して得た雑多な経験を蘇らせ、ふるいに掛け系統別に整理してからシンプル化することだった。
といっても1970年代~1990年代の経験だから、金融が比較的安定していた時期から不安定期への過渡期の昔話にすぎないのだが、複雑化した金融を読み解くには、権威者の意見を引用するよりも、筆者自身の経験談がベストと思われた。
具体的には、固定為替相場制から変動相場制へ、ベルリンの壁崩壊を境に本格化したグローバリゼーションとLTCM倒産のような金融危機の拡散、金融ビッグバンによる取得原価から時価会計への変化と国際化、そして金融技術の発達(時には魔術化)等々。
その過程で生まれたデリバティブは、金融商品の価値変動リスクのヘッジ目的使用のほか、“No Risk, No Return”を合言葉に投機にも使われ始...
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