2024年3月期日本基準決算Q&A 前編(会計基準等)

有限責任監査法人トーマツ 公認会計士 田中 圭

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※文中の意見にわたる部分は、筆者の私見であり、筆者の所属する法人の見解ではないことをあらかじめお断りします。

Ⅰ 電子記録移転有価証券表示権利等の発行及び保有の会計処理及び開示に関する取扱い

Q1 2024年3月期より適用となる、実務対応報告第43号「電子記録移転有価証券表示権利等の発行及び保有の会計処理及び開示に関する取扱い」(以下、「実務対応報告43号」といいます)の公表の経緯について教えてください。

2019年5月に成立した「情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」(令和元年法律第28号)により、金融商品取引法が改正され、いわゆる投資性ICO(Initial Coin Offering。企業がトークン(電子的な記録・記号)を発行して、投資家から資金調達を行う行為の総称)を金融商品取引法により規律することとされ、各種規定の整備が行われました。

各種規定の整備の中で、「電子記録移転有価証券表示権利等」が定められたことから、ASBJにおいて会計上の取扱いについて検討を重ね、実務対応報告43号が公表されました。

Q2 「電子記録移転有価証...