Q&Aコーナー 気になる論点(358) IASBの年次改善プロジェクト
早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一
Q 国際会計基準審議会(IASB)が2023年9月に公表した公開草案(ED)「年次改善‐第11集」(年次改善ED)で提案していたIFRS第9号「金融商品」の取引価格や、IFRS第7号「金融商品:開示」における公正価値と取引価格との間の繰延差額の開示に関する提案は、そのまま修正される見込みでしょうか。 |
A
2024年2月開催のIASBボード会議において、IFRS第9号の取引価格は、年次改善EDのとおり、また、IFRS第7号における公正価値と取引価格との間の繰延差額の開示は、年次改善EDに若干の修正を加えて、それぞれ最終化することを決定しています。
〈解説〉
年次改善
IFRS財団の「デュー・プロセス・ハンドブック」において、年次改善(Annual Improvements)とは、基準や解釈指針の狭い範囲の又は軽微な修正で、各修正に関連はないものの1つの文書にまとめて公開されるものとしています(6.10項、用語集)。年次改善は、基準の他の修正と同じデュー・プロセスに従いますが、以下のいずれかに限定されているため別々ではなく、関連のない修正を1つのパッケージで公開する点が異なります(6.11項)。
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