Q&Aコーナー 気になる論点(388) 組合等への出資の会計処理

‐金融商品会計実務指針の改正‐

早稲田大学 大学院会計研究科 教授 秋葉 賢一

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 企業会計基準委員会(ASBJ)が2025年3月11日に公表した改正移管指針第9号「 金融商品会計に関する実務指針 」(改正実務指針)では、組合等の構成資産に市場価格のない株式が含まれている場合に、出資者の会計処理の基礎として、原則として取得原価、一定の場合には時価(評価差額の持分相当額は純資産の部に計上)とすることができる(時価評価オプション)としています。この場合、総額法では、どのように会計処理することになるのでしょうか。

改正実務指針では、時価評価オプションについて、純額法の場合だけを示し、総額法については特段の対応は行わないこととしています。もっとも、総額法では、組合財産のうち持分相当額を出資者の資産・負債とし、損益計算書についても同様に処理するため、時価評価オプションを適用した場合には、その持分割合額を出資者の資産とし、評価差額金の持分相当額を純資産の部に計上することになると思われます。

〈解説〉

組合等への出資の会計処理の概要(1)‐原則

改正実務指針132項では、従来から、組合等(任意組合、匿名組合、パートナーシップ等)への出資①については、原則として、組合等の財産の持分相当額を...