会計基準の長い日々 第10回 企業会計基準委員会の活動開始(その1)

~第1回本委員会の開催

 公認会計士 西川 郁生

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初めての事務所に驚く

初めて財団の事務所を訪れたのは勤務開始前日の2001年7月31日の午後であった。日比谷国際ビルにあった新日本監査法人から、資料を詰めこんだ日通のペリカン便の袋を両手に提げてビルを出た。当日内勤だった若手2人が、1人で持ちきれない分の手提げ袋を持ってタクシー乗り場まで見送ってくれた。その2人の顔と名前は今でも覚えている。それだけ私は高揚していたのだろう。

前身のCOFRIが、米国大使館近くのビルから移転して、最後に事務所を構えたとされる溜池山王の第9興和ビル。そのビルの前に降りたときに驚いた。5階建ての小さなビルの1階はコンビニエンスストア。その横から入るビルには古いエレベータが1機ある。乗ってみると、揺れを感じながらゆっくり昇っていく。市場関係者として委員会に関係する人には日立の方も多いが、当時稼働している日立の最も古い機種だという話を後に聞いた。私の場合、勤務先の監査法人が二度、より大きな法人に合併されたが、その度に立派なビルに移っていった。今回は、双六が振出しに戻ったようだった。公認会計士第二次試験に合格して、初めて監査法人榮光会計事務所に勤務したときの神田共同ビ...