<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第133回 リース(12)
国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継
集団就職・終身雇用
戦後の日本の高度経済成長を支えたのは集団就職と終身雇用であると言われている。第二次世界大戦によって国土を徹底的に破壊された我が国は、戦後奇跡的な復興を遂げたばかりではなく、あっという間に他の先進国を追い抜いて世界第2位の経済大国にのし上がった。通常、経済が急速に成長する際には、労働人口のボトルネックが障害となって成長スピードが鈍るのだが、日本の場合は、ベビーブームで急増した人口を都市部の工業地帯に集中させることに成功した。それを可能にした仕組みが集団就職と終身雇用である。
地方で中学を卒業した人たちが、学校ごとに集団で汽車や船で移動し、上野駅などのターミナルで待機していた就職先の企業のバスに迎えられていく。各企業は、一度確保した人材の流出を抑えるため、また、自社のノウハウを他社に奪われないため、雇用者に対して終身雇用を約束した。このような仕組みがあったから、日本の企業は労働力のボトルネックにぶち当たることなく、高度成長を成し遂げることができた。
集団で就職した同期の仲間は、集団で社員旅行に行き、同じ社員寮に入り、社内結婚をして社宅に入り、同じように出世して、経営の一翼を担...
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