会計基準の長い日々 第11回 企業会計基準委員会の活動開始(その2)

~創立時のスタッフ

 公認会計士 西川 郁生

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金融庁は委員会オブザーバー

企業会計審議会は役所の組織であるから、会長を補佐する形で担当課の役人が会議に参加する。これが民間の基準委員会となると、金融庁の扱いを決める必要があった。現に日経新聞のある記者は、「民間による基準作りが実現した以上、金融庁には一切関わらせるべきではない」とコラムに記していた。「弱腰になったらもう支持しないぞ」くらいの勢いがある。だが、弱腰とか強腰の問題ではない。

金融庁設置法には、その所管業務として「企業会計の基準の設定その他企業の財務に関すること」と明記されている。基準委員会ができたからといって、国の機関である金融庁が、企業会計基準の設定責任から免れないのは明らかなのだ。

会計基準には規範性が必要である。法律が規範性を有するのは当然である。会計基準そのものは通常、法律とはならない。その場合、法律の下に位置付けられる必要がある。会計基準は、証券取引法(現在の金融商品取引法)においても、商法(現在の会社法)においても、法律ではなく、それぞれの府令や省令に委ねられている。府令や省令では「一般に公正妥当な企業会計の基準」への準拠が求められる。そして基準委員会による会計基準...