我が国のサステナビリティ開示基準の導入に向けた対応策 前編

有限責任監査法人トーマツ 監査・保証事業本部 非財務・サステナビリティ保証統括部   
 パートナー 公認会計士 小口 誠司

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はじめに

2025年3月にサステナビリティ基準委員会(SSBJ)は我が国のサステナビリティ開示基準(SSBJ基準)を公表しました。この基準は、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が2023年6月に最終基準として公表したIFRSサステナビリティ開示基準にほぼ沿った内容となります。並行して金融庁は、SSBJ基準に準拠した開示を有価証券報告書等に開示することを東京証券取引所プライム市場上場企業に対して、時価総額に応じて段階的に義務付ける案を検討しています。

本記事では、このような国内外のサステナビリティ開示に関する実務の最新情報を踏まえ、その実務対応について二回にわたり解説します。

まず本号では、第一章「サステナビリティ情報の開示の在り方」として、サステナビリティ開示の必要性及び国際的な開示動向について、第二章「我が国のサステナビリティ情報の開示動向」として、2025年3月に公表された我が国のサステナビリティ開示基準について要点を解説します。併せて、第三章「我が国のサステナビリティ開示基準に対応する上での課題」として、2025年4月に弊社が開催した「我が国におけるサステナビリティ開示基準(S...