Q&Aコーナー 気になる論点(394) 経営者による説明(2)

-開示される情報-

早稲田大学 大学院会計研究科 教授 秋葉 賢一

 国際会計基準審議会(IASB)は、2025年6月23日に、改訂IFRS実務記述書(Practice Statement)第1号「経営者による説明」(以下、「改訂版」という)を公表しました。この改訂版では、「経営者による説明」において、どのような情報を開示することとしているのでしょうか。

改訂版において、経営者による説明では、その目的や6つの各内容領域の開示目的を満たす上で必要な事項について、重要性のある情報を開示するとしています。

〈解説〉

経営者による説明(1)-目的ベースのアプローチ

改訂版では、利用者の情報ニーズに対応できるように、詳細で具体的な開示の要求事項のリストを定める「パースペクティブ・アプローチ」ではなく、「目的ベースのアプローチ」を採用しています(BC126項-BC127項、BC136項)。すなわち、経営者による説明の目的(objective)を達成するために、6つの内容領域(areas of content)を特定すること、また、内容領域ごとに開示目的(disclosure objectives)を識別し、主要な事項(key matters)に焦点を当てること、さらに...