スチュワードシップ・コード第三次改訂について

金融庁 企画市場局 企業開示課 課長補佐 新谷 亜紀子
金融庁 総合政策局 総務課 課長補佐 三木 俊人

金融庁は、2025年6月26日、「『責任ある機関投資家』の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫~投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために~」の第三次改訂版を公表した。

本稿では、改訂のポイントと考え方について紹介する。なお、本稿中、意見にわたる部分は、筆者の個人的な見解であり、筆者が所属するいずれの組織の見解も代表するものではない。

一 経緯・背景

スチュワードシップ・コード(以下「同コード」)は、機関投資家が、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解のほか、運用戦略に応じたサステナビリティの考慮に基づく「建設的な対話」などを通じて、当該企業の企業価値の向上や持続的成長を促すことにより、顧客・受益者の中長期的な投資リターンの拡大という責任(スチュワードシップ責任)を果たすための原則であり、2014年に策定された。

機関投資家が同コードを受け入れるかどうかは任意であり、金融庁は同コードの受入れを表明した機関の一覧を公表している。2025年3月31日時点の受入機関数は340機関であり、その内訳は信託銀行等(6機関)、投信・投資顧問会社等(212機関)、生命保険・損害保険会社(24機関...